英語を日本語に訳して後で読み返した時、「なんか教科書っぽい」「直訳した感が滲み出てる」と思ったことはありませんか?
ここでは英語を自力で翻訳しようとしている方や、日本語が非ネイティブの翻訳者の方に向けて、英語からの翻訳を自然な日本語にするコツをお伝えします。
以下の点に気をつけるだけで、英語からの和訳がもっと自然に見えるはずです。
英語では主語と代名詞を必ず明示しますが、日本語では省略することができます。実際、日常で使われる文章では主語が省略されていることが多いです。
I soon realized that I must either leave the metropolis and rusticate somewhere in the country, or that I must make a complete alteration in my style of living.
A Study In Scarlet, Arthur Conan Doyle
私はすぐに、私が大都市を離れてどこかの田舎で暮らすか、私の生活のあり方を完全に見直さなくてはならないと気付いた。
修正後:
私はすぐに、大都市を離れてどこかの田舎で暮らすか、生活のあり方を完全に見直さなくてはならないと気付いた。
“Dr. Watson, Mr. Sherlock Holmes,” said Stamford, introducing us.
A Study In Scarlet, Arthur Conan Doyle
「ワトソン博士、シャーロック・ホームズさん」
スタンフォード君は私達を紹介しながらそう言った。
二人の人物を共通の友人が紹介する、よくある場面です。直訳では状況が今一つ分からないので、言葉を足します。逆に、それに続く説明はシンプルにしました。”said~”を逐一訳すと、日本語では回りくどく聞こえます。
修正後:
「こちらはワトソン博士。こちらはシャーロック・ホームズさんです」
スタンフォード君が私達を紹介した。
英語の語順だと結論が先に来るため、文章が長くなっても重要な部分は問題なく伝わります。しかし日本語にすると語順が逆になるので、そのまま訳すと永遠に結論に辿り着かない、なんてことが起きます。
そんな時は文章を二つに分けた方が、言いたいことが伝わりやすくなります。
It was upon the 4th of March, as I have good reason to remember, that I rose somewhat earlier than usual, and found that Sherlock Holmes had not yet finished his breakfast.
A Study In Scarlet, Arthur Conan Doyle
私が普段より幾分早く起きて、シャーロック・ホームズが朝食をまだ終えていないことに気が付いたのは、訳あってよく覚えているのだが、3月4日のことだった。
修正後:
訳あってよく覚えているのだが、あれは3月4日のことだった。私は普段より幾分早く起きて、シャーロック・ホームズが朝食をまだ終えていないことに気が付いた。
何かを依頼するときや、注意事項を伝えるとき、英語をそのまま訳すと語気が強すぎる場合があります。日本語ではあまりストレートな命令形は使われず、遠回しな表現が好まれます。
お願い事や注意事項は、口調を和らげるとより日本語らしくなります。