コンシューマー乙女ゲーム市場の衰退を見る

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コンシューマー乙女ゲームの衰退は長らく囁かれていますが、実際のところどうでしょうか。売上をデータから考察してみたいと思います。

記事で紹介するデータについて

  • データ引用元: ファミ通ゲーム白書2023-2025
  • コンシューマーパッケージ版のみの集計で、DL版は含まれない。PCやモバイルなどの他プラットフォームも含まれない。
  • 女性向けゲーム全ての合算。具体的には以下が含まれる:
    • 乙女ゲーム
    • BLゲーム
    • 恋愛要素のない女性向けゲーム

女性向けの中で一番タイトル数が多いのが乙女ゲームなので、ほぼ乙女ゲームの実態と一致すると考えて良いでしょう。

「ファミ通ゲーム白書」はゲーム業界の統計資料なのですが、全体の0.7%しかない女性向けジャンルについて1コーナーを設けてくれている、知る限り唯一の媒体です。(他の統計資料ではコンシューマー女性向けは「その他」にまとめられがち)

年間販売本数の推移

まずはこちら、直近12年の年間販売本数です。

最新の2024年度は、約12万本となっています。数字は全ての女性向けゲームの年間の合計であることにご注意ください。初週でもなく、ゲーム一本あたりでもありません。それを踏まえると、年間の合計が12万本というのは、非常に厳しい業界なのだなと実感せざるを得ません。

2013年には年間100万本あった市場が、この12年で10分の1になってしまいました。

ちなみに、リリースされたタイトル数で言えば乙女ゲームが多いのですが、一本当たりの売上は恋愛要素のない女性向けゲームが多い傾向にあります。

例)

  • 累計 166,474 Girls Mode 4 スター☆スタイリスト (任天堂、2017年発売)
  • 累計 91,433 ファッションドリーマー (マーベラス、2023年発売)

また乙女ゲームの中では、ノベル形式のゲーム(ADV)よりSLG形式の方が売上本数が多い傾向にあります。ただSLG系のゲームはADVに比べて開発費が高いと思われますので、成功とみなされるかは各社の基準次第です。

例)

  • 累計 61,439 ときめきメモリアル Girl’s Side 4th Heart (KONAMI、2021年発売)
  • 累計 41,288 ジャックジャンヌ (ブロッコリー、2021年発売)

BLゲームはタイトル数、売上共に少ないですが、PCが主戦場のためと考えられます。

こうして推移を見ると乙女ゲームは最盛期を過ぎ、2019年以降は横ばいでかろうじて踏み止まっている印象です。2024年は新規メーカーの参入も目立ち、盛り上がった印象がありましたが、全体の売上は大きく変わっていません。

2023年から2024年にかけて少し上昇しているように見えますが、2024年の売上首位は女性向けに分類される「ファッションドリーマー (マーベラス)」です。乙女ゲームの首位は「泡沫のユークロニア (ブロッコリー)」でした。

全体に占める割合

前項のグラフはパッケージ版のみなので、DL版を含めればそこまで悲観的な数字にならないのでは? と考える方もいるかもしれません。

確かにゲーム業界はパッケージからDLへのシフトしており、全体ではパッケージの売上が減少し、DLの売上が伸びている傾向にあります。

そこで、全体に占める女性向けの割合も見てみます。

販売本数が減るに連れ、割合も減っていることが分かります。2013年には2.1%あった市場シェアが、2024年では0.7%となっています。

やはりDLへのシフトとは別に、ジャンル自体の勢いが下がっているように見受けられます。

また乙女ゲームは一般向けゲームに比べてパッケージが好まれる傾向にあり、一般向けゲームよりもパッケージ需要は下がりにくいと考えられます。にも関わらず、販売本数、市場シェア共に減少している状況です。

楽観論を考える

乙女ゲームのヒットタイトルはグッズ、イベントなど多方面に展開される傾向にあり、ゲーム本体の売上から想像されるよりも大きな市場規模があると予測されます。

コンシューマー乙女ゲームの売上は低迷していても、各社から新作はリリースされ続けています。

乙女ゲームから撤退するか、続けるかを判断する基準は会社によって異なります。リリースを続けている会社は、様々な状況を考慮して開発を続ける判断に至ったのでしょう。

新規ブランドも増えました。定番の型に囚われない新しい方式を模索する動きも見られます。

Steamや海外展開を行う企業も出てきています。Steamや海外はまだまだ規模が小さいので、今後の伸び次第というところです。

モバイルゲームの波に押されて苦しいコンシューマー乙女ゲームですが、コンシューマー乙女ゲームには、一貫性のある完結した物語を楽しめるというモバイルとは異なる魅力があると思っているので、今後も持続していくことを願うばかりです。


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執筆者

Kanrinin

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